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広島大病理学研究室 会報誌「一樹」より特別寄稿文掲載

行武正刀先生を偲んで
武島幸男 准教授


 昨年の4月、関連病院から1件の肺生検材料の診断依頼があった。依頼書をみると患者氏名の覧に忠海病院の元院長の行武先生のお名前があった。どうされたことかと思いつつ標本を観察すると、それは、予後の悪いタイプの肺腺癌であった。主治医からは病変は既に両肺に拡がり、化学療法しか治療法がないと聞き、愕然とした。それから1年、病状は一進一退であったが、3月26日、ついにお別れの日が来てしまった。

 先生とは大学院生時代、忠海病院で毒ガス症例の剖検でしばしばお目にかかっていたが、該当剖検症例が少なくなるとともに、お会い出来る機会も少なくなっていた。剖検が終わると必ず通されるのが大久野島毒ガス曝露者のカルテ庫であった。整然と並べられ、個々の症例について詳細なサマリーが付され管理されている部屋を拝見させていただき、みな感銘を受けたものである。カルテの数は4000を超えるという。

 2005年夏、NPO法人モーストの会(津谷静子理事長、津谷隆史先生の奥様)のお誘いでイランを訪問し、イラン・イラク戦争でマスタードガスに被災した犠牲者を訪ねた。その際、再び先生とご一緒することが出来た。その後も数回にわたるイラン人訪日の際は、先生と時間を共にし、様々な勉強をさせていただいた。特に昨年夏のイラン人の訪日では、既に彼らは先生のご病状はよく知っていて、「日本に来たのは行武先生に会うためだ。」と口々に言っていたことが思い出される。

 先生のご遺志により、剖検させていただいた。剖検には医師のお嬢さんも立ち会われたが、その際、「父は最後の最後まで病室で毒ガス被曝者のカルテの整理をしていました。」というお話を聞き、医師の本来あるべき姿を教えられたような気がした。

 行武先生のご冥福をお祈り致します。そして、最後まで勉強させていただきありがとうございました。 合掌。

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